お葬式で見る白黒の幕の意味は?
お葬式の会場(セレモニーホールやご自宅)の周りでよく見かける、白と黒の縞々(しましま)の幕。あの幕には「鯨幕(くじらまく)」という名前があります。
「お葬式=白黒の幕」というイメージが強いですが、実はあの幕が使われるようになったのは、日本の長い歴史の中ではつい最近のことなのです。
今回は、あの白黒の幕に込められた意味や、意外な歴史についてわかりやすく解説します!
1. なぜ「くじら」の幕と呼ぶの?
白と黒の縞模様なのに、なぜ海の生き物の「鯨(くじら)」という名前がついているのでしょうか?これには2つの説があります。
- 見た目がクジラに似ているからクジラは背中側が黒く、お腹側が白いですよね。その白黒のコントラストが幕の模様に似ているからという説です。
- クジラをさばいたときの様子から昔の日本ではクジラを食べる習慣がありました。クジラをさばくとき、黒い皮を剥ぐとすぐ下に真っ白な脂肪(身)が現れます。その「黒と白が連続する様子」から名付けられたという説です。
どちらにしても、昔の日本人にとって身近だったクジラの白黒模様から連想されたと言われています。
2. お葬式で鯨幕を張る「3つの意味」
お葬式の会場にこの幕を張るのには、主に次のような実用的な意味や役割があります。
① 周囲に「お葬式をしています」と伝えるため
昔は自宅でお葬式を行うのが一般的でした。家の周りにこの幕を張ることで、ご近所の方や参列に来た人に「ここで儀式を行っていますよ」と一目で伝える目印にしていました。
② 見せたくない場所を隠す(目隠し)
日常の生活感がある場所や、お葬式にふさわしくない道具などを幕で覆って隠すためです。空間をすっきりと仕切ることで、厳かな雰囲気を作り出すことができます。
③ 聖なる空間(結界)を作るため
仏教や神道では、お葬式を行う場所を「神聖な空間(結界・けっかい)」として区切ります。日常の世界と、故人様を送り出す特別な世界を分けるために幕が使われます。
3. 実は「お祝い事」で使われていた!?
ここが一番の驚きポイントですが、実は鯨幕はもともとお葬式専用の幕ではありませんでした。
古来の日本では、「黒」は高貴な色、神聖な儀式の色とされていました。そのため、昔は格式の高い神社の神事や、なんと皇室の結婚式などのお祝い事(慶事)でもこの白黒の幕が使われていたのです。(今でも皇室の伝統行事では、お祝い事に白黒の幕が使われることがあります。)
日本の伝統的なお葬式の色は、もともと「白一色」でした。
しかし、明治時代以降に西洋から「お葬式=黒」という文化が入ってきたことで、日本古来の「白」と西洋の「黒」が合わさり、大正から昭和の初期にかけて、葬儀社が本格的にお葬式で鯨幕を使い始めるようになりました。
これが大ヒットし、現代の「白黒の幕=お葬式」というイメージが定着したのです。
まとめ:白と黒の幕が持つ意味
- 名前の由来は、クジラの体の色(白と黒)から
- 役割は「目印」「目隠し」「空間の仕切り」
- 元々はお祝い事にも使われる高貴な幕だった
最近は家族葬が増え、葬儀会館でお葬式を行うことも多くなったため、街中でこの幕を見かける機会は減ってきています。しかし、あの白黒の模様には、日本の伝統と西洋の文化が混ざり合った深い歴史が隠されていたのですね。