火葬のあと、二人でお骨を拾うのはどうして?
火葬が終わったあと、ご遺族で集まって行う「骨上げ(こつあげ・収骨)」。お箸を使って、故人様のお骨を拾い上げ、お骨壷(こつつぼ)へと納めていく儀式です。
このとき、必ず2人でペアになって、お箸で一緒にお骨を拾います。
日常の食事でこれをやると「箸渡し(はしわたし)」といってマナー違反になりますが、どうして火葬のあとの骨上げでは、あえて2人で協力して行うのでしょうか?そこには、残された人たちの深い祈りが込められていました。
1. 「あの世への橋(箸)渡し」をしてあげるため
一番の理由は、お箸の「はし」という言葉が、川に架かる「橋(はし)」と同じ音だからです。
2人で協力して「不揃いの箸(竹と木など)」でお骨を持つことで、「あの世への『架け橋』を作ってあげるから、迷わず無事に、向こう岸へと渡ってね」という願いを表現しているのです。これが「箸渡し=橋渡し」の語源となっています。
日常の食事で箸渡しをしてはいけないのは、「お葬式の骨上げを連想させて縁起が悪いから」という逆の理由からきています。
2. 悲しみをみんなで「分かち合う」ため
お骨を拾うとき、1人でお箸を持つのではなく、2人で力を合わせます。
これは、「大切な人を失った悲しみを、1人だけで抱え込まず、みんなで分け合って乗り越えよう」という意味も含まれています。
お骨はとても脆く、崩れやすいものです。それを2人で息を合わせ、そっと慎重に運ぶことで、故人様への愛おしさと敬意を全員で共有しているのです。
3. この世の未練を断ち切り、成仏を促すため
お葬式の儀式には、あえて日常とは真逆のことを行う「逆事(さかごと)」という文化があります。
2人でお箸を持って1つのものを挟むという行為は、日常では絶対にやらない特別な動作ですよね。
あえて日常とは全く違う方法でお骨を拾うことで、「今は日常(この世)ではなく、非日常(あの世)の儀式を行っている」という境界線をハッキリとさせます。
これにより、故人様に「あなたはもう新しい世界へ旅立ったんですよ」と優しく伝え、この世への未練を断ち成仏してもらうという意味も込められています。
まとめ:2人でお骨を拾う理由
- 2人でお箸を「橋」に見立てて、あの世へ無事に渡れるように「橋(箸)渡し」をするため
- 2人一組で拾うことで、家族が悲しみを「分かち合う」ため
- 日常とは違う「特別な動作」をすることで、あの世への旅立ちをハッキリと区別するため
火葬のあとの骨上げは、少し緊張する厳かな時間ですが、そこにあるルールはどれも「故人様が迷わず天国へ行けるように」「あちらの世界でも安らかにいられるように」という、日本人が昔から大切にしてきた優しさに満ちています。